事務所創立30周年を前にして
〜トラブルに直面した場合の心構え Part1〜
当事務所は,本年4月に創立30周年を迎えます。
振り返りますとおよそ30年の間,当事務所では多種多様なご相談をお受けして参りました。当事務所でのアドバイスが少しでも皆様のお役に立ち,皆様の平穏な日常を取り戻すための一助になってくれていればと願わずにはおられません。同じように,当事務所をご訪問下さった方々に心より感謝申し上げます。
せっかく記事を書く機会を得ましたので,少しトラブル対処法について振り返ってみたいと思います。
これまでのご相談の内容は千差万別で一括りにできるものではありませんが,お客様のご様子を拝見しておりますと,当然のことだと思いますが抱え込んだ問題を容易に解決し得ない状況に少なからず悩んでおられたと思います。中にはもうご自分で方向性を決めておられその再確認のためにご相談される方もいらっしゃいましたが,大なり小なり非日常的な問題を抱え,戸惑い苦しんでおられるようにお見受けしました。
本当にいろいろなご相談がありました。身近なところでは,相続問題,離婚問題,借金問題,不動産問題,交通事故相談,刑事事件などが多かったご相談内容といえるでしょう。
もちろん,ご相談の内容は,一件一件が個性的ですが,中には抱えたトラブルがあまりにも大きいものに感じ,眠れない夜を過ごされて来所された方もいらっしゃいました。そういう方のご相談の中にはもう少し早くご相談いただければ,対処方法も異なっていたであろうにと残念に思うケースも少なからずあったように思います。
やはり,弁護士への相談ということになると,まだまだ身近なものではないのかもしれません。
残念に思うのは,問題を早く解決したいと願うばかりに早まったと思える行動を取ってしまわれるケースも多いというところです。安易に焦った解決をしてしまうと一旦は解放された気持ちになるかもしれませんが,真の解決に至っておらず,またじわじわと不安に襲われてしまいます。時には問題を拡大させ,新たなトラブルを生むことも少なくありません。
トラブルに直面した際にまず何を行うべきか。
そこでどうすべきかが本記事のテーマになりますが,簡単な選択肢としては,まず一呼吸置いて,信頼できる身近な方にご相談されるのがいいと思います。少なくとも心理的負担を軽くするという効果があるのではないでしょうか。一人で抱え込んでしまうよりも,信頼できる方のご意見を聞くことによって早まった行動を抑えるという効果も期待できます。ただし,この種のご相談は相談された方のお人柄によって冷静さを欠く場合も時としてありますので注意の要するところではあります。
かかる意味で相談される際は,決して感情的に判断,行動されるのではなく,客観的に事態を分析するという姿勢を意識的に持つということです(これが必須かつ難しいところではありますが)。つまり,トラブルの原因を客観的に分析,検討し,相手方の主張にどれだけの正当性と相当性があるのかを正しく判断する必要があります。そして,相手方に理解してもらわねばならないこちら側の事情として何があるのかの検討も重要になります。
客観的に事態を分析するという冷静な時間を持つことによって間違いなく気持ちは落ち着いてきます。それが,一定の負担を覚悟しなければならないと決意せざるを得ない場合であってもです。
いかがでしょうか。難しいでしょうか。でも,そういう気持ちを持って頂くだけでトラブル下にある自分をコントロールすることが多少なりとも可能になってくるものと思っております。トラブルに直面したときにぜひ思い出していただきたいところです。
でもこれだけではトラブルを解決したことにはなりません。次に,トラブルに対処するための行動をとらねばなりません。
ここからが肝心なところですが,これについては次号でご説明させて頂きます。
文責 所長弁護士 山村忠夫